<愛知一家5人殺傷>長男の鑑定留置決定 地検豊橋支部(毎日新聞)

 愛知県豊川市の一家5人殺傷事件で、名古屋地検豊橋支部は20日、岩瀬一美さん(58)への殺人容疑などで送検された長男高之容疑者(30)の精神状態を調べるための鑑定留置を名古屋地裁豊橋支部に請求し、認められた。期間は21日〜9月10日。地検は鑑定結果を踏まえ、処分保留としている殺人容疑などについて一括して起訴するかどうか判断する。関係者によると、高之容疑者は「悪いことをしてしまった」と反省しているという。

 高之容疑者は一美さんとめいの金丸友美ちゃん(1)への殺人容疑、母(59)、弟(22)、弟の妻(27)への殺人未遂容疑で送検されたが、地検は7日、処分保留にした。現在は自宅に火をつけたとする現住建造物等放火容疑で拘置されているが、鑑定留置により、拘置は停止される。放火容疑の拘置期限は28日だった。

 殺人の罪などで起訴された場合は裁判員裁判の対象となる。乳児を含む5人を計40カ所にわたって包丁で切りつけ、家に火をつけるという特異な手口から責任能力が争点になる可能性が高いため、地検は捜査段階での精神鑑定実施が必要と判断したとみられる。

 県警豊川署によると、高之容疑者はこれまでの調べに「インターネットの契約を解約されて腹が立った。殺してやろうと思い、5人を刺した。家も燃えてしまえと思った」などと容疑を認めているという。【沢田勇】

 【ことば】鑑定留置

 容疑者や被告の精神状態を鑑定するため、病院などに留置する刑事訴訟法に基づく処分。起訴前の場合、検察側の請求に対して裁判所が許可する。刑法では、裁判で善悪を判断できない心神喪失や判断が著しく困難な心神耗弱が認められた場合、無罪や刑の減軽が規定されている。

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